2011年10月2日日曜日

2冊目『グラッドストン』が10月中旬に刊行されます!

吉田書店にとって2冊目の本となる『グラッドストン――政治における使命感』が10/14に刊行されます。
グラッドストンという19世紀のイギリス政治家が、世間にどれだけ知られているのでしょうか。
19世紀のイギリス政治に黄金時代をもたらした一人の大政治家の生涯をとおして、混迷する現代の日本の政治を考えることは意義深いことだと考えます。
そして、本書を通して、当時のイギリス政治(のみならず社会全体)への興味を膨らませていただければ、この上ない喜びです。

本書は、故・神川信彦教授によって1967年に潮出版社から刊行された同書名の本の復刊です。同年の毎日出版文化賞を受賞したことからも分かるように名著と呼ぶにふさわしい1冊です。44年経った今、装いも新たに世に送り出すことに致しました。巻末には、君塚直隆先生による解題をお寄せいただき、21世紀の日本に、文字通り、本書を甦らせることができました。

44年も前に出された本の位置づけや、今読み返す意義、グラッドストン研究の最新の状況などについては、本書巻末の君塚先生による解題をお読みいただきたく思いますが、ちょっと違った視点から、本書の魅力を少しだけ、ご紹介いたします。

まず1つめ。文章の読みやすさ、です。
当時のイギリス政治に詳しいわけでない私が、本書を読み通すことが出来たのは、何よりも、流麗な一文一文の書きぶりのおかげです。そのためか、同時代に生きていた感じにさせてくれます。また、章の見出しなどにも読者への配慮が見られます。たとえば、「大樹に風は鳴る」「老樹の悲願」「倒れて後やむ」と言った見出しです。
2つ目。政治(政治家)について考えるヒントが、随所に散りばめられていることです。
たとえば・・・・
「『豹変』できない政治家は、政治家の名にあたいしないのである」
「『課題』を『現実』に変えてゆく真の現実主義は、通常のいわゆる現実主義者には達成できないもののようである」
そして、3つめ。それは、1冊の中に、いろんな“豆知識”が隠れている、ことです。
たとえば、「ボイコット」という英単語の語源を、私は本書によって知りました!

さて、本書の刊行には多くの方々にお世話になりました。
まずは、著者である故・神川信彦先生のご遺族です。
出版社を立ち上げて間もない私からの突然のお手紙にもかかわらず、本書刊行を快諾いただいたのが4月末。その後は何度かご自宅にお伺いさせていただきました。神川先生が退職なさったあとの都立大入学である私にとっては、信彦先生の奥様からお聞きする昔の都立大にまつわるお話は、大変興味深いものでした。本書をお届けするのが今から楽しみです。
そして、巻末に解題を執筆いただいた君塚直隆先生。
先生には、解題のご執筆だけではなく、本書全体についてさまざまな点でご相談に乗っていただきました。まずは、本書に出てくる人名や地名の表記を44年経った現代にふさわしいものに変更するにあたって、全面的にご教示いただきました。そして、各章の扉(トビラ)に掲載する写真や絵の選定ではキャプションの文言までご指導いただきました。
また、本というカタチに仕上げるに欠かせない作業をお願いしたお二人。本文を組んでいただいた閏月社さん、装丁を手がけてくださった折原カズヒロさん。44年ぶりに世に出る本書が、古びた感じを与えず、新鮮に感じさせるようになっのは、まさにお二方のおかげです。本書を手にすれば、必ずや実感いただけると思います。

一人でも多くの読者にお届けできれば、と念じております。

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