2011年12月7日水曜日

『現代ドイツ政党政治の変容』が1月上旬刊行!

吉田書店の3冊目が、2012年の年明け早々に刊行する運びとなった。今日7日に校了。
現代ドイツ政治がご専門の小野一先生による『現代ドイツ政党政治の変容――社会民主党、緑の党、左翼党の挑戦』である。

“左翼”や“左派”といった言葉に対する考えは人それぞれかもしれない。そして、日本において、政党を右と左に分けることなど、もはや無理なのかもしれない。
しかし、ドイツにおいては、少なくとも、左派ということで、社会民主党(SPD)、緑の党、左翼党が存在する。

本書は、それら3党を軸に、近年のドイツで進行する政治的再編成を鳥瞰することからスタートする。そして、2010年1月に誕生した「連体的近代のための機構」という左派の超党派シンクタンクを紹介。このシンクタンクの動きをつぶさに見ると、現代政治への問い直しを迫る多くの問題提起が含まれていることに気づくのである。
エネルギー政策を例に取れば、原発を巡っても、各党はつねに議論をし続ける。そうした研鑚が、3.11後の素早い対応の根底にあるのだ。カバーには、ベルリンでの反原発デモの写真を使ったが、これは、09年の出来事なのである。3.11フクシマ後に、急に思い立ったデモなどではない……。
また、ベーシック・インカムについても一章が割かれた。多義的な概念を、今一度解きほぐすために、過去の議論を整理いただいている。
本書は、「ドイツ政治の研究者のみならず、実線活動に携わっている人、そして世界と日本のあり方を模索するすべての人に読んでもらえたら幸い」(あとがきより)という、著者の願いが随所に詰まっている。

 小野先生は、福井県の敦賀で育ったという。敦賀といえば、原発の街……。
10ページにわたる、ちょっと長めの、著者による「あとがき」のサブタイトルは「青い海を見に行こう」。本書を手にしたら、「あとがき」からお読みいただくのもいいかもしれない。

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